プロロオグ―開幕― 《私、宮城に行くことになった》

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プロロオグ―開幕― 《私、宮城に行くことになった》

四国の織姫中。この学校の生徒たちは、一貫して螺旋川高にいくのが一般的だ。男子バレー部は、遠征で東京へ出た後も、織姫中は廃校までの間自分たちのプレーを捨てずに部活をしてきた。高校は廃校にならないため、そのままエスカレートで螺旋川高に入ることになる。 その中で、新たな門出を迎える者もいた。三瓶もその一人。 親の急な転勤で、今まで住んでいた場所を離れることになったのだ。それも、四国内ではなく、 『東北』という北の町だ。 行ってらっしゃいと見送られ、車にのった。 もう、後ろを振り返りはしないだろう。 三瓶自身、バレー部にはあまり縁がないのだが親友がバレー部のマネージャーをやっていただけに、四国のチームメイトとは顔見知りだ。 一緒に帰ることもあった。 その中で、チームメイトの一人が宮城のバレー部について情報をくれた。 「コート上の“王様”が、烏野高校に行くらしいよ」 「それって北一じゃん!四国でも有名だよね!」 「三瓶、宮城の烏野高校行くんだって?だからさ、バレー部には気を付けろよ」 「気を付けるって…何が?」 「こ・の・ウブ!!!」 「いたいよ~陽光!」 (コート上の“王様”かあ…別に私、バレー部じゃないしなあ) 「まあそんな王様もツブして一番になるのはオレらだけどな!なっはっは」  確かに三瓶には関係なかった。そう、まだ“今”は。
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