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眠り姫
眠い眠い。私は眠いの。
誰にも邪魔をされたくはない。
ただ静かに眠っていたいの。
静かに安らかに眠っていたいの。
だからこそ、私の睡眠の邪魔をするというのなら、例え、神様であろうとも白馬に乗った王子様であろうとも関係なく容赦なく殺すから。
午前10時
「まだ寝れる」
その一言から私の優雅で堕落的な一日が始まる。
とうに日が昇り始め、既になり終わって静かになった置時計を眺めながらも、ベッドから起き上がった私は部屋の中をゆっくりと見渡す。
部屋の中を見れば優雅な家具や道具がたくさん並んでおり、毎日毎日、私自身の睡眠を妨げるかのような眩しい光を反射しながら、皮肉にも私の事を否定するように私の事を照り付ける。
「はぁ」
うざい。
時計に映る私の顔は一刻の王女の顔と思えないほどのぐちゃぐちゃになっており、本来綺麗な金色の髪は寝癖のせいで酷く跳ねており、綺麗な瞳はおぼろげに重く鏡面に映る私の事を眺めている。
胸の中で静かに私自身のことを憐れみながらも、再び寝床の上へと倒れこむ。
一国の王女、楽ができる。
圧倒的な怠惰。素晴らしい生活だが、私自身、それ自体にどこか苛つきを覚えている。
忙しいや面倒くさい。これらが別に好きなわけじゃない。けれども、胸の中に残るこの焦燥感と苦しいほどの怒りは一体、何に向けているのだろうか。
ドンドンドン、
うるさい。
ふて寝をするように二度寝を開始をしようとした所、思いっきり扉が叩かれる。
「……なに?」
一応、誰が叩いているのか分かっているのか分かるのだが、私は扉を叩いている人物に何かを問いかける。
「クライン! 一体、何をしているの! 早く出てきなさい!」
「やだ」
「何言っているの! 今日は、バルティスト王国の王子とのお見合いよ!」
うるさい。
カチッカチッ、と鳴らしながらなる時計を憎く見つめながら扉の前にいる人物に向かって沸々と心の中にある怒りが沸き上がってくる。
ドンドン!
カチッカチッ、
大きな怒号と共に、時計の針は進み、静かになる。
そのたびに私の心の中は徐々に崩れていき、一生懸命に閉じ込めた感情が漏れ出そうとする。
「何しているの! 早くしなさい!」
うるさい。
「早く準備しなさい!」
うるさい。うるさい。
「私たちをこれ以上、困らせないで!」
うるさい。うるさい。うるさい。
「早く、私たちを幸せにしてよ! クライン!」
ガシャン!
瞬間、私の何かが切れた。
カチッカチッ、と鳴っている時計を思いっきり部屋の扉に投げると大きく壊れる音と共に時計は砕け散り、扉の前にいた人物は何か驚いたような声が聞こえてくる。
「黙っていてよ」
私は静かな怒りを込めた言葉を扉の前にいる人物に投げかけると、再び私は静かになった部屋でゆっくりと体を倒した。
私は窓辺から映るかつての記憶を眺めながら、静かに瞼を閉じた。
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