天井体験記

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気がついたら、アヤの部屋の天井になっていた。 何言うてるかわからんやろ?大丈夫、俺もわからん。 アヤが今何してるか見たい!と強く念じた直後、俺の視点がアヤんちの天井になってしもてたというわけ。まあこれでも何言うてるかわからんやろけど。体はなくて意識だけ。幽体離脱みたいなもんなんか。しっかし相変わらずきったない部屋やな。 ごちゃごちゃ考えてたら鍵を開ける音がして、アヤが帰ってきた。もちろん声を出せるわけもないのでじっと見ておく他ない。いつもみたいにドサドサそこらへんに荷物ほりだして、いきなりベッドにダイブした。だいぶお疲れみたいやな。ああんよしよしナデナデしたげたいわあ。上着だって脱がせてあげたいし、上着の他のも…… そう思ったちょうどその時、アヤがちゃんと自分で上着を脱いだ。そら一人なんやから自分で脱ぐしかないんやけど。そうそう、脱いだらちゃんとハンガーにかけとかな皺に……って床へ落ちとるやないかい。もう、ほんま俺がついてやなあかんねんからなぁ~。 横向きに寝転がったまま、動かんようになってもた。寝てしもたんやろか。あーあ、眼鏡もかけたまんまで。髪もバリバリやっちゅうに。あー撫でくりまわしたい。 ていうか、俺はどないしたらええんや。どうしたら元に戻れるんやろ。このまま俺はアヤんちの天井になってしまうんやろか?んなアホな。 ん?アヤがゴソゴソし始めた。ワイシャツのボタン外してる。そらせやな、帰ってきたら外しとき。ベルトも外しだしたな。寝転んだまま着替える気か?どこまでもズボラなやっちゃなあ。 と思ってたけど、何か様子がおかしい。脱ぐと思ってたズボンは中途半端なとこで止まってて、ぱ、ぱんつの中に手が…… これはもしかして、今から、おっぱじまっちゃうんですか……? シャツの中にも反対側の手が滑り込んでって、アヤが好きなとこらへんをまさぐってる。ああ、代わって欲しい……! だんだん息が荒くなってきた。ちょ、眼鏡外しときって。曇るで。もっとちゃんと顔みたいし。と思った瞬間、目が合った。正確にはそんなわけないねんけど。俺天井やし。でも一瞬、確かにちらっとこっち見たアヤの顔はもう完全にエロモードにチェンジしててヤバい。 ベッドの上もなんやかんやと乱雑に衣類関係が散らばってるけど、アヤがその中から何やら引っ張り出してきた。あれ、俺の部屋着やん。何すんのかと思ってたら、部屋着に顔を埋めた。んで片手で乳首弄ってもう片手はナニを扱いてる。 ──エッロ。 そのうちまた枕の下から取り出したるはローション。常時あそこに潜ませてんのかいな。いつでも誰とでも持ち込めるように、なんか? こいつがお目見えしたということは当然、ぱんつの中の手は後ろに回るわけで。 ……こっちの方でもやってるんや、ひとりで。 眉間にしわ寄せて、肩で息しながら後ろの穴弄り倒してるで。普段全然エロないのにこの時だけめちゃめちゃエロいなあ。前弄ってる時より良さそうやけど?そうなん? 「…っあ、はぁ」 うわあ声漏れだしたエロいヤバいあかん俺の置いてきた体も今頃ギンギンのカチカチやろなあ……! ってか体来い!!なんで天井やねん! 俺ここにいてるのに一人でなんていかせたくないよ、一人でいくとこ見たくないよ。 いつの間にかシャツの中に入っとった手は俺の部屋着を握りしめてた。後ろからはやらしい音が聞こえてる。 「リョウ」 えっ?見えてんの?俺見えてる?めちゃ焦ってテンパってたら、どうも違うみたいで。 「ん、あ、リョウ、っ」 俺は今、思考停止する程度には感動している。あのアヤが、俺を思いながら、しかも後ろで(ここ重要)、夜な夜なひとりエッチやと……? 可愛すぎるやろ。愛おしすぎて萌え禿げるわ。 しかしはたと冷静になる。俺は今とんでもなく見てはいけないものを見てるんちゃう?もしアヤがこのこと知ったらどない思うやろか。俺やったらこんなとこ、アヤに見られたくない。それと、浮気ほぼ確定みたいに疑ってたことも。 ごめんな、アヤ……
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