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「良かった。仲直り出来たんだね」
「うん。ありがとう星麗」
「いいってことさ!」
その日の夜、久しぶりに家族4人そろって食べた夕飯は特別に美味しかった。
満月も熱が下がり、母とも久しぶりにいっぱい話すことが出来た。そのことを話すと、星麗は嬉しそうな顔をした。
「ねえ流生くん、良かったら次の休みの日、空けといてくれない?」
「いいけど……どうして? 夜じゃダメな用事?」
「うん。お昼を食べたらこの公園に来てね。絶対だよ!」
「分かった」
結局何の用事なのかは、当日まで教えてくれなかった。
約束の日の午後、公園にはもう星麗が来ていた。彼女はいつもの制服ではなく、星柄の青いワンピースを着ていた。
「別に待っていないから安心するといい」
「うそつけ」
「バレたか。じゃあ行こうか」
「結局どこに行くの?」
「まだ秘密」
なんなんだよ。
はぐれないように、と言われたのでぴったり後ろを付いて歩く。隣でいいのに、という言葉は無視した。
「ほら、着いたよ」
「ここって、天文台?」
「そうだよ。姉弟設定で入るからね」
「何でだよ……」
たどり着いたのは、僕の家とは真逆の方向にある天文台だった。白くて丸い建物は、青空の下によく映えていた。
「大人1枚に子供1枚ですね。ご姉弟ですか?」
「はい!」
「ちがモゴモゴ……」
楽しんで下さいね、と受付の人にチケットを渡される。
「ほら、入ろうか」
「……うん」
じとっと星麗を見ると、彼女は気まずそうに顔を逸らして「ごめんって」と軽く応じた。
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