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お姉さんに付き添われながら桜将が退席して、僕はチラリと心花を見やる。
それとほぼ同時に、お酒で頬を赤らめた心花が潤んだような瞳でこちらを見てきた。
ドキ、と胸の奥が跳ねあがる。
「あの…、この後って、どうしよっか?」
「宴の片付けが終わってから一時間後に、北の熟月山の展望台。いい?」
僕が頷いたそのタイミングで薄暗い空の真ん中に、大きな音を立てながら艶やかな花達が咲き誇った。成人祭の終わりを知らせる花火。
みんな反射的に空を見上げていたけど、あいにく僕らは見逃してしまった。
2ヶ月前にあの三人が現れなかったら、きっとこんな輝くような気持ちも知らずに変わらぬ日常を過ごしていたに違いない。
あの旅は間違いなく僕らを以前よりも上のステージへと押し上げてくれた。
そしてまたここがベースラインとなり、僕らは更に上のステージへと駆け上がっていくんだろう。
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