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◇◇
地球という名の宇宙船が、流星群に突っ込んだ。
地球で見ていた僕らの上には、それはそれは美しい無数の流れ星のスペクタクル。
◇
「綺麗ね」
「そうだね」
星の降る夜に、船上で抱き合っていた恋人たちは、ふと、海面の異常に気がついた。
「あれはなに?」
「あれは? くらげか?」
「あそこにも…!」
「こっちにもあるぞ…!」
見渡せば、あっちにもこっちにも、無数の海月が浮いていた。
◇
「流星に、撃ち落とされたは、海月かな」
降ってきた星が海月を撃ち抜いて、それが海面に浮かび上がってきたみたいだね、と、ロマンチストな男が言った。
「海月の大発生は、生態系のバランスの乱れよ」
近頃の地球温暖化が、海月を大発生させているのだ、と、リアリストな女が言った。
星降る夜に、恋人たちはうっとりと、星を、海を、眺めていた。
◇◇
太陽のような恒星が、なんと次元を移動して、地球に接近中だった。
海面温度は上昇中で、海月は異常繁殖中。
地球滅亡まで、あとX日……。
終◇◇
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