君の人生に警護で好う(5)

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 何も言えばいいか分からない秋吉は、当たり障りのない言葉を与える。 「では、子供を望まない男性と、出逢えると宜しいですね」  なんて卑怯なんだと責めたくなる秋吉。暫くは颯京様を安静にさせようと、その場を離れようとした。  移動し始める秋吉に対して服を引っ張る颯京様。何かと思い、動くの止める秋吉。  ただ何も喋らないまま颯京様を見つめる。 「あ、有難う。話、聞いてくれて・・・・・・」  颯京様のお話を聞くのも仕事なのにも関わらずお礼を言われてしまった。お話を聞くくらいは大した事じゃない。 「あんたは、少年役と同様のΩの事をどう思った? あの役柄のαについてもどう思う?」  秋吉が口を開かなかったせいか、どんどん質問をしてくる颯京様。食いつくように距離感を縮めようとしてきた。  あの映画についての感想というか意見を聞かれるとは思いも寄らなかった。なんて言えばいいのだろうか。  Ωは別として颯京様が言う通りに秋吉は役通りのαだ。役通りといっても相手が望まない事はしない。  まあ、あんなに子供が欲しいかと言われれば、そんなに欲しいとは思わない方だ。  典型的なΩの男性とは違う颯京様。 「そうですねー、私が意見を述べるとしたら、確かにΩなら男性でも子供は出来ますが、私は相手が望まなければ求めませんね。あとΩの男性も妊娠や出産をせずにαやβの方々のように生きてもいいと思いますよ。もし私が子供を産むとしたら、と想像してみたらどれだけ無理か分かると思いますし」  颯京様が望む意見を言えたかは定かではない。秋吉は腕を組みながら流暢に喋る。  じーっと秋吉のお話を聞きながら黙り込んでいた颯京様。  最近のΩの男性は、考えが変わってきたのだろうか。勝手に秋吉が、Ωの男性はこうだ! と思い込んで典型的しか知らなかったのかもしれない。
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