君の人生に警護で好う(5)

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 休憩室のドアからコンコン、と壁を叩く音がした。秋吉が立ち上がってドアノブを触れようと手を伸ばす。  けれども先に颯京様がドアノブに触れた。 「撮影が再開されますので宜しくお願いします!」  本番の一部であるチェックが済んだのか分からないけれど颯京様の出番が呼ばれた。  颯京様に対してお知らせをしてくれたスタッフは休憩室から離れる。  情緒不安定みたいな状態だった颯京様を見つめ直す。颯京様は満面の笑みで支度をしていた。  あまりの可愛らしさに颯京様は、発情期なのかと思わせられた。  他のΩの男性とは違う颯京様。  Ωとして生まれ、Ωとしての生きるべきレールには乗らずに『妊娠や出産』を拒否した。颯京様は、自分らしく生きようとする。  秋吉のΩへの思考さえも考えさせられる物があった。  先程から颯京様を見ていると胸が高鳴ってしまう。本当に颯京様の警護が出来て良かったと思えたのだった。 「ほら、行くぞ! 秋吉」  颯京様が警護人としてではなく『秋吉』と自分の名前で呼んでくれた。心を許したのだろうか。  休憩室の外に居る颯京様。  颯京様は手招きながら秋吉を呼ぶのだ。  マネージャーを待たないまま、秋吉と二人でスタジオに足を運んだ。 END
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