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<1・神のいる学び舎>
ステイ・オルフォード。それがどうやら自分の名前であるらしい。
孤児院の前に自分を捨てていった親が唯一残したもの。名前と自分の外見からして、外国人であったのはまず間違いないのだろう。残念ながらなんで外国人がこの国にやってきて子供を捨てていったのかはわからないし、生まれも育ちもこの国である自分は見た目に反して日本語しか喋ることができないけれど。
たった二つ、この名前で良いと思うことは。ステイ、というのが英語で“此処に居る”という意味であるということ。きっといつまでも生きていて欲しいという意味を与えられたのだろう、と孤児院の先生は言っていた。親に対しては感謝もへったくれもないが、その名前だけは気に入っている。
もう一つ。この日本人離れした名前のおかげで、人に名前を覚えてもらいやすいというのは有難い。見た目も目立つ。金髪に緑っぽい瞳、というのもそれだけでみんなに記憶してもらえるというものだ。人と話すのが大好きなステイにとっては、それは十分すぎるほどの利点であるのだった。特に、そう。
「ステイー!」
パタパタと寮の廊下を走ってくる友達。長い黒髪の南方楓と、小柄で茶髪に眼鏡の浅岡享。この全寮制の高校・宗像誠心学園に通う仲間達だ。彼らと話せるようになったきっかけも、楓と享がこの珍しい見た目に興味を持って声をかけてくれたせいだった。
人目を引く容姿というのは面倒なことも多い。時にいじめの対象になることもあるとは聞いたことがある。幸いにして、ステイは日本人離れした容姿に加え非常に体格が良かったことに加え、この学校自体の治安が良かったために虐められるようなことは一切なかったわけだが。すぐに友達が多くできたこともあり、今はこの学校で毎日楽しい日々を過ごしているというわけである。
まあ、少々変わり者が多い上、学校自体にも謎が多いのは事実であるが。
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