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「流れ星に何を願いたいの」
しんと冷えた静かな帰路。星が点々と瞬く空をひとすじの光が切り裂いた。住宅街の真ん中であたしたちは白い息と感嘆の声をあげた。そう、そこまではよかった。
流れ星に三回願うと夢が叶う──そんな迷信を頑なに信じるリョウタは流れ星探しに目の色を変えた。暗い夜道できょろきょろと空を見上げ、何度もあたしにぶつかり何かに蹴躓き……とうとう足を止めることになった。
そこで冒頭の台詞である。
仁王立ちに睨みつければ彼は「ごめんごめん」と全く悪びれることなく口角を上げた。
「あんな大きな流れ星初めて見たからさ、また流れないかなと思って」
「そんなに大きな流れ星でなくちゃ叶えられない夢なわけ?」
「そういうんじゃないんだ。アンと一緒ならもう一回見られそうっていうか、奇跡が起こりそうっていうか?」
「何言ってんの?」
あたしは半眼を閉じる。
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