#12 「なにかありましたか?」

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「いやぁ、最後のアレは気に入ったわ。あんたの名前は……え?」  紘子さんは飛鳥の顔を見て驚愕(きょうがく)の表情を浮かべた。 「その人は雛咲飛鳥さん。今回の被害者のひとりです」  なぜか蛍が飛鳥の説明をする。その説明を聞いた紘子さんは小さく「なるほどね」とつぶやく。紘子さんは何かに納得した様子だった。 「では、関係者の方は一応ご同行いただきたいですが……まぁ今日はいいでしょ! 皆疲れているだろうし、明日必ず桜嘉署のほうに来てくださいね」  紘子さんはそう言って微笑む。紘子さんはそのまま軽自動車のほうへ行こうとしたが、俺はその前に聞いておきたいことがあった。 「あの!すいません!」  俺の声に紘子さんが振り向く。 「失礼ですが、蛍とのご関係は……」  ただの高校生がどうやったら刑事と知り合いになれるのか。まぁ、蛍なら色々接点があってもおかしくないのかもしれないが、そういうものだけではない気がする。 「あぁ、そうね。私は……」  紘子さんは一直線に蛍のもとへ歩いていく。そして紘子さんの後ろに回ると蛍の頭に自分の手をポンッと置いた。 「私は海藤紘子(かいどうひろこ)。この阿呆の保護者ってとこよ。よろしくね」  頭に手を置かれた蛍は見事な仏頂面(ぶっちょうづら)をしている。 「保護者ってことは……蛍の……お母さん? でも名字が」 「うーん。そういうことじゃないんだよねぇ……」  紘子さんは苦笑いを浮かべている。 「まぁ、あんた達がこれからもコイツと一緒にいるならいつかわかる日もくるわよ。じゃ、私はお仕事に戻りまーす」  そう言って蛍を少し小突き、紘子さんは軽自動車へと向かって行った。後ろ手に手を振っている紘子さんは妙にカッコよく見えた。
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