ピンチヒッター

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「監督、それ……」  トレーニングを終えて集まって来た少年たちの視線は、岩戸の手元――ぼくに注がれていた。 「ああ、ストップウォッチが見あたらなくてな。時計も止まっちまってるみたいだし、こいつにピンチヒッターになってもらった」 「綺麗な色をしてますね、その――砂時計」  褒められて、ちょっぴり恥ずかしながらも、とっても嬉しかった。   *  携帯電話が普及してからというもの、ぼくたち砂時計の出番はめっきり少なくなってしまった。でも、まだまだ現役のつもりでいるからさ。 『あと5分』それが知りたい時は、いつでも呼んでくれ。
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