#07 starting over with this

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「ヒス起こして乗り込んでくるあなたが面白くってつい、誇張した。……あなたの心配するようなことは無い。安心して」 「優しい子やね、あんたは……」  いやにドライに言い切る彼を見つめ彼女は言う。 「本当に優しい人間なら、最初から嘘なんかつかないよ」  応えず、彼女はホットミルクを飲み干した。  最後につくのと、どちらが優しいのだろう。 「――完食してるけど、気分どうよ。……吐きそうになってない?」 「大丈夫やよ」カップを傾け、彼女は笑った。「いぃつも気分悪なるわけやないし。たまに、なが……」 「うんよかった。なんか、あなた、眠そうな顔してる」  思えば、長い一日だった。  爽快に始まる予定の休日が、退屈を知り、慟哭を味わい、いまは、――  平穏のただなか。  風に凪ぐ帆を感じる小舟のような。 「歯ぁ磨いて、寝よっか」  空の彼女のマグカップを取り、少年は笑った。  妹が欲しいと言った。  できるよと母は答えた。  もうすぐ、もうすぐよ――と、  ひとりきりでお父さんのほとんどいない家庭。  しかもお母さんは血の繋がりが無い。  周りからどう思われているのか、知っている。
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