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1 ダイナナ
「ダイナナ」それは新しい果物の名前で、英語で「7th fruit」と名付けられたことにより、日本では新しい世代を表す代名詞として使われていた「第7世代」と掛け合わす形で、SNSなどで使われ始め、やがてマスコミを通じて広く認知され、定着した。
その果物が「7th fruit」つまり、「7番目の果物」と名付けられたのは、これまでの、どの種の果物類にも属していない果物であることから、七不思議や、第六感の次の感覚、という意味で名付けられたと言われていた。
しかし、実際ただの話題作りでそういう意味を持たせたのではなかった。
「ダイナナ」を開発したのは、シリコンバレーのとあるベンチャー企業で、健康志向の強い、主に女性をターゲットとして開発されたとされる。
元来果物とは、食用になる果実及び果実的野菜のうち、強い甘味を有し、調理せずそのまま食することが一般的であるものを指し、狭義には樹木になるもののみを指すとされており、果樹や種の状態により、分類分けされる。
これに対し、「ダイナナ」は、ポリフェノールやカテロイドなどの、「フィトケミカル」と呼ばれる栄養素を生み出す細胞のみを培養し、化学的に生み出された果物であり、木ではなく、ラボで創られている。
「フィトケミカル」とは、抗酸化作用のある栄養素のことである。
人間の体は、活性酸素が増えることで、カラダの細胞が錆び付き、いわゆる老化を進行させている。
この活性酸素に対抗するのが「抗酸化作用」である。
「ダイナナ」は、この抗酸化作用だけを含む果物として開発された。
要するにアンチエイジングのために作られた果物である。
果物ではあるが、果物ではない。
だが、食べてみると、何かの果物に近い感じがする。
それでいて、老化防止の効果が期待できる。
この「ダイナナ」の存在が世の中に公表されると、ネットニュースやSNS、口コミを中心に話題となり、瞬く間に世界中で話題となった。
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