私と彼と流星群

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今日は流星群が見られるかもしれない。 そうニュースで聞いて私は職場の同僚であるレン君と一緒に、星空がよく見える場所に来ていた。 無数に散らばっている星達はどれも綺麗に輝いていて、一つ一つの星が物語の主人公のように光を放っていて、幻想的な雰囲気を(かも)しだしている。 ふと、隣を見てみれば、レン君は星空を見ながら悲しそうな、懐かしそうな、そんな顔をしてた。 「大丈夫?」 私がそう言えば彼はいつものように微笑みながら地面に寝っ転がり、手を空に向かって伸ばした。 「人は死んだら星になる、って小さい頃に両親から聞いたんだ。 だったら、この中のどれかが両親で俺を見てると思うと・・・・・・って、馬鹿らしいな」 「そんな事ないと思う」 「ふっ、美咲は優しいな」 同じように地面に寝っ転がって空を見上げる。 人は死んだら星になる、なんて迷信だと思う人も居るかもしれない。 でも私は素敵だと思う。 死んだら離れ離れって思うよりも、死んでも傍で見守っているって思うほうが幸せだと思うから。 「優しくて可愛いなんて、お前は天使か?」 「もう・・・・・・からかわないでよ」 頬が熱くなるのを感じながらそう言えば、右手に暖かな手が触れるのを感じて、顔を隣に向ける。 「からかってない。 本気でお前を天使だと思っているし、とっくにお前を異性として見ている」 「レン、くん」 「もし予報通り6分後に流星群が見えたら、その時返事を聞かせてくれ。 見えなかったら返事は一旦保留で好きな時に返事を返してくれて構わない」 握られた手が、すごく、熱い。 まるで熱湯に手をつけている時のように火照っているのが分かって、恥ずかしさから顔を覆った。 2人の前に流星群が現れるまで──あと5分。
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