時の迷宮

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ガヤガヤと騒がしいスズランと言うこのギルドの建物の中で赤毛の魔法使いが掲示板一面に貼られている依頼を見ながらムゥ~?と唸っていると、仕事を探してるのぉ~?と間延びした声に彼女・・・アメリア=アン=ウォーカーは自分の背丈より大きい愛用の杖を持ちながらその声をの方に振り向くとアマナさ~んと困った顔で泣きつきだす・・・ 「cascade(カスケード)の先月の売り上げが相当悪かったみたいで家賃が払えないんですよ!だから一儲け出来そうなクエストを斡旋してくれませんか?」 「ギルドの職員に堂々とそんな事言わないでくれるかなぁ~!?」 そう抗議の声を上げるアマナの腰にアメリアがそんな殺生な事を言わずに・・・としがみついていると、さっきから何を騒いでいるんだ!とこのギルドでナンバー2のステファニー=キーツが背中に背負った長剣の位置を直しながら二階から降りて来る。 「ステフさん良い所に~!?アメリアがさっきから無茶な事ばっかり言って困ってるんですよぉ~!?」 「無茶とは何ですか!?ちょっと割りの良い話を融通してくれるだけで良いんですよ?それに目と鼻の先に美味しい料理とお酒を出す都合の良いお店が無くなるのは貴方達に取ってもデメリットでは有りませんかね・・・」 この下町では良心的な料金と美味しい料理を提供するエルフ族で女性店主のリン=ローダンセが切り盛りするパブ・・・カスケードは周辺に住む住民や周期的にやって来る冒険者達を相手に商売をしていて勿論の事、ステファニーもアマナに限らずこのスズランの職員全員が愛用しており、それは困るかなぁ・・・と痛い所をアメリアに付かれたアマナが助け船を求める様にステファニーの方を見ると、無くも無いがな?と顎を擦っていたステファニーがニヤニヤとした顔でアメリアの方を見ながら腕を組みだす・・・ 「クエストと言うよりもの探索何だがな・・・有ったこれだ!」 ステファニーがそう言いながら棚に並んでいたファイルを机の上に置くと、時の迷宮ですか・・・?と有るページを見ながら首を傾げたアメリアにステファニーはああそうだ・・・と説明しながら後頭部に手を置きだす。 「このダンジョンはこの国に伝わる有名なダンジョンでな?と有る高名な魔法使いが作ったと言われる今まで誰も攻略した事が無いという難攻不落の場所なんだ・・・」 「誰も攻略した事が無いって事はまだお宝が残っているかも知れないって事ですね!」 ステファニーの説明に成程!とアメリアが手をポンと叩いていると、けどそれってかなり危険なダンジョンって事じゃない~?と尋ねながら腕を組むアマナにそう言えば!とアメリアも慌ててステファニーの方を見るとその辺りは大丈夫だから!?慌てて前に出した両手を振りだす。
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