気まぐれ猫と映画の日

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何度自分を変えようとしてもだめだった。 私は、人間というものが信じられなかった。 小学二年生のとき。 どの授業もつまらなくて嫌いだったが、特に嫌だった音楽の授業。 幼稚園の時からピアノを習っているし音楽自体は好きだったが、小学生の音楽なんて口を大きく開けて子供らしく大声で叫ぶように歌えば、はなまるを貰える。 私にはこの時間が馬鹿らしくてしょうがなかった。 「今日は3人に分かれて、楽器を使って演奏してみましょう!」 少し声が高くて元気で優しくて、いつでも笑顔な詩織(しおり)先生。はっきりとした年齢は知らないが、仲が良いらしいおじいちゃん先生の郷原(ごうはら)先生と並ぶと、童顔なところも相まって娘のようだった。 それは内面も同じで、何かとやり方や考え方が稚拙なところがある。小学生に夢を見ているタイプの教師だが、生徒たちには人気だった。
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