明日の話をしよう

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「どうすんだ」とイールと壁際でヒソヒソしているとまた来客があった。 「病人の部屋で騒ぎすぎだぞ」 「陛下!」 「お父様!」 「ん?何だ、みんな揃って…」 そう言いかけてアンバーの視線が部屋の隅にいる僕らの方に注がれる。 あっさりと手に持っていた花籠が見つかる… 「は?え?えぇ?!」 「アンバー!ちょっと落ち着いて!僕もパニックで…」 「《求婚の花籠》!誰が渡したんだ!」アンバーの目の光がチカチカ点滅する。 本気で驚いてるみたいだ。 「陛下、いえ、お父様、私がお渡ししました」 「ぺ、ぺ、ペトラァ?! イール!どういうことだこれは!」 「私だって知りませんよ!私だって腰抜かしそうなくらい驚いたんですから!」 室内がプチパニックだ。 時期女王から結婚前提のお付き合いを指名されたのが、まさか人間の勇者なんて… 笑えないにも程がある。 新喜劇かとかだったらいいのに… 慌てる養父と弟を横目に、ペトラはこっそり僕の隣に来て腕を絡めた。 ちょっと背が高いので僕が見上げる形になる。 「私じゃお嫌かしら?」 「いや、むしろ僕なんかで良いのかな?」 「貴方が良いの」 ニッコリ笑って腕を絡めるペトラ。 仕草が可愛い。 白い長いまつ毛に囲われた深緑の瞳がキラキラ輝いて宝石みたいだ。 これは逃げられないな… 「とんだビッグカップルですこと…」 マリーの皮肉たっぷりの言葉に僕は力なく「ははは」と笑って見せた。 初彼女が魔王の娘とか親に紹介できないな…
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