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✩.*˚
とりあえずペトラを引張がされてアンバーの執務室に連行された。
「全く、君はいつも私の考えている事の斜め上を行くな…」
「いや、僕だってお見舞いだろうと思って受け取ったんだよ」
「教えなかった私も悪かった…
しかしペトラめ、随分大胆な事をする」
特大の深いため息を吐きながらアンバーは机に突っ伏している。
勇者の僕が娘の婚約者になってしまったのをどう思っているのだろう?
「まあ、それは一旦置いておこう。
デリケートな話だからな…
それより今回のことで君には感謝してもしきれないほど世話になった」
気を取り直して無理やり本題に入る。
やっぱりショックだったんだろうな…
「ペトラは子供の頃に人間に耳を切られた。
耳を切られたらもう元には戻らない。
耳が途中で切られて短くされたエルフは奴隷にされる。
あの子はずっとそれを恥じていたんだ…
私はあの子の心までは救えなかった…」
そうか、だからあんなにキレイなのにお洒落してなかったんだな…
「奴隷紋を入れられたことはあの子にとってかなり辛かっただろう…
それを跡形もなく嘘のように消してくれた君には感謝しかない。
その上、私の子孫まで助けてくれた」
「そういえば、アドニスは?他の騎士たちはどうしたんですか?」
「生きてるよ、安心したまえ」
「良かった…」
アンバーの答えにほっと胸を撫で下ろした。
「本来であれば極刑だが、第一の功労者の君が助命嘆願をしたから殺さずに牢に入れている。
会うかね?」
「うん、アドニスと話がしたい」
彼もこの世界の偏見の被害者だ。
もし自分が同じことをしていたらと思うとゾッとする。
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