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その日、僕は見たんだ。 空を覆うほどの沢山の沢山の流れ星を。 それはきっと、 世界中で見ることができたんだ。 それは、とても光り輝いて、 花火のように光の尾を幾筋も率いて、 綺麗で、 綺麗で、 綺麗で、 もう、最後の閃光は、星の誕生を意味してた。 僕の居た街はとても真っ暗になって、 僕に起きた『奇跡』だけがとても恨めしかった。 僕は原始の地球に佇む。 ただ一人佇む。 微かに残された酸素もやがて消えてなくなるだろう。 「炎が上がるということは酸素があるってことだ」 どっちでもいい呟き。 佇んでいると思っているのは自分だけだろうか? そもそも僕の身体はここにあるのだろうか? 暗すぎて見えない。 漆黒という言葉が似合う夜。 確か、最初は『未知』と言われたウィルスだった。 それでも僕たちは普通に生活していた。 マスクをしなさいとか手を洗いなさいとか、 子供に言うみたいだなって。 世界規模に広がってるものだったけど、 頭の隅でぼんやりと、何故か対岸の火事のように、 危機感を持つという危機感を、 そうだ、 軽んじていた。 楽しみにしていた野球の試合がなくなって、 四年に一度の祭典も、 何だか世界中でそんな感じじゃなくなって、 どうなったんだっけ? ヤメタ?ヤッタ? ああ、もうどっちでもいいや。 消えない疫病に世界はどんどん困惑して、 僕も何だか普通じゃないなと思った時には、 もうどこの国の人とも会うことができなくなってて、 通信さえも遮断されて、 僕は歴史の教科書をめくった。 江戸時代の、遠くを遮断していたあの時のようだなって、 その時はまだ、友達と笑ってた。 本物の流れ星が沢山沢山流れ始めた。 空を覆う黒い煙の雲の間を 縦横無尽に星が降る。 もう少ししたら、この紅蓮が冷えて、 今度は雨が降る。 そして宇宙では、 その綺麗な光は、 流れ星という名前から隕石という名前に変わる。 引力が壊れ始めたんだ。 あの時笑った友達も、 『隣県を遮断する』っていう制度ができて、 会えなくなった。 あれ? あの制度って国が作ったんじゃないな。 ああそうか、もう、国の自治なんてあの時にはなくなっていたのか。 地球のことが分からなくなって、 不安に思い始めた時、 誰かが、誰かたちが、 そのスイッチを押したんだ、きっと。 絶望に満ちた光の夜。 神様は平等に、 誰の上にも流れ星を降らせた。 そして僕は見たんだ。 空を覆うほどの沢山の沢山の流れ星を。 それはきっと、 世界中で見ることができたんだ。 それは、とても光り輝いて、 花火のように光の尾を幾筋も率いて、 綺麗で、 綺麗で、 綺麗で、 怖くて、 怖くて、 怖くて、 もう、最後の閃光は、星の終焉を意味してた。
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