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星降る夜にわたしは生まれた。
予定日を2週間過ぎた頃
いやいやと叫びながら肺呼吸を始めた。
やはり生まれる前から引き籠もりで出不精だった。
中学の頃
星降る夜にリストカットした。
死にたいなんて全然思ってもいなかったのだけれど、ためらい傷を数か所つけると思いもよらず大出血してしまった。
少し頭がふらついたけど大丈夫。
両親の部屋をノックして入ると淀んだ空気の中セックスしていた。
交わった性器をしっかりと見て胸が締め付けられた。
母親は驚いて毛布で身体を隠したけれど、それ以上にわたしの手首から流れ出る血液を見て全裸で叫びながら駆け寄りわたしを抱きしめた。
わたしは手首の出血より両親の混ざり合った身体の先から吹き出た血液と絞り出された血液の交わりでわたしが出来上がって来たのを想像してしまって、もう1度あなたのお腹の中に引き籠もれないかしらと思った。
星降る夜の夏浜辺。
男の物悲しさに誘われて砂浜で初めて迎え入れた。
痛かったけれど我慢した。
男はその内に良くなるからと出し挿れ続けたけど我慢できなくなって男を蹴飛ばした。
わたしはきらめく無数の星を見ながら赤と白が混じり合った血を流した。
そして知らないうちに涙も流していた。
このまま星の海に飛び込んだらわたしの心は解き放たれて手首の傷も心のわだかまりも消えて無くなる気がした。
星降る夜にわたしは帰る。
あの心地良く
安全で
気に満ちた
独りぼっちのリアルな場所。
星降る夜空はタイムスクリーンの様に過去も未来も映し出してくれるの。
わたしは思った。
星降る夜にあなたもいつかここに来て、自分の名を呼んでみて。
迷子になって見失ってしまったあなたをきっと見つけられると思うから。
おしまい
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