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星を見上げて
ある夏。
どこかの国の、建物一つ見えない広大な草原。少し離れたところには背の低い緩やかな山々。
夜が深くなった時間。月の光だけが光源ではあるが地表はうっすらと明るく、数種類の虫の鳴き声が草をかき分けて聞こえてくる。
そこに佇むのは一人の西洋人らしき少女。シニヨンで髪をまとめ上げているからか、幾分幼く見える顔つきは十五歳前後と感じられる。白を基調とした地中海周辺の民族衣装の上から制服のブレザーのような上着を羽織っており、そのヘンテコなファッションが彼女の存在の異質さを物語る。
そして少女は星々がちりばめられた紺色のキャンパスを見上げ、口をもぞもぞと動かしている。瞳をあちこちに動かし、時折何かを見据えるように止まったかと思えば、また動かす。
そう、彼女には見分けがついているのだ。夜空で輝く星と、それに似た何かが。
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