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追ってきていたディフェンスがファール覚悟で後ろから身体をぶつけるがそれすらも勢いに変えてキーパーと位置を入れ替えにいく。
誰しもが抜けたと思った瞬間、浩二の身体が大の字に宙を舞い、地面に身体が打ち付けられた。浩二はキーパーに左足を掴まれ、右足だけが前に進もうとしていた。
明らかに悪質なファールに会場が静まり返る。
主審の笛が鳴り響くが、PKの合図はしておらず相手のキーパーにレッドカードが提示される。
そして、ゴールに収まっていたボールを指差して得点の合図をする。
一瞬の出来事に理解が遅れるが、水西高校応援団からは地響きが起きそうな喜びが露わになる。
浩二は一度立ち上がり、ゴールに入っているボールを確認すると安心したかのように左胸についている校章を握りしめて膝から崩れ落ちた。
それを電光掲示板に表示された
『水西高等学校 全国選手権優勝』
の文字が照らしていた。
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