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ガクン!
船体が大きく揺れる。
無事、ドッキングアームが第7ステーションに取りついた。
「エンジン出力最大」
「出力最大!」
ジェフの声に応え、エンジンレバーを力いっぱい手前に引く。
船体が上下に激しく揺さぶられる。
パネルの出力を表す数値が徐々に増えいき、ついに100%を示した。
轟音の中で船体からきしむような音が聞こえ始める。
「大丈夫かな……」とタロウ
「大丈夫だろ……」と俺。
「大丈夫じゃないわ」とジェフ。
「え?」
タロウと俺の声が重なった。
「思ったよりステーションの質量が大きすぎて、残念やけどこの船の力だけでは無理やわ」ジェフが俯きながら言った。
「じゃあ、このままだと」
「落下時刻が十数分延びただけ」
「そんな……」
タロウが萎れた花のようにその場にへたり込んだ。
「くそ! 何か手があるはずだ。何か……」
必死で頭をめぐらせるが、何も浮かんでこない。
俺は、何もできないのか……。
「ほんとうに、このままだと九州が吹き飛ぶの?」
タロウがつぶやく。
「塊だから燃え尽きずに落ちてしまうんやから、小さくできればええんやけどなあ」
……小さく?
瞬間、頭の中で何かがつながった。
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