12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺とタロウはジェフのところに駆け寄りレーダーを見つめた。
赤色に点滅する構造物が、地球の方へゆっくりと下降しているのがわかる。
「で、でも、あれって突入させて解体させる予定だったんよね……」
タロウの上滑りする声の下、副操縦席に座ったジェフが2つのタッチパネルをよどみなく操作する。
「燃え尽きるには、だいぶ大きすぎるなあ。あれだとほとんどそのまんま落ちるわ」
ジェフが顔をあげる。
「日本に」
タロウの表情がみるみるうちに青ざめる。
「計算したけど、落下地点は98%の確率で九州あたり。落ちる衝撃からすると半径100キロメートルはどかんと吹き飛ぶねん」
九州……!?
「えええ! や、やややばい」
タロウが指をくわえてガタガタ震え始めた。
「でもさ、でもさ、悪いのはボブくんの会社だよね」
「そうやけど、船長。それで済む話やないねん……ほら」
そう言ってジェフは、俺の方に視線を向けた。
「……ヒカル?」
タロウの言葉に反応できなかった。
多分、固まっていたんだと思う。
そのときの俺の頭の中には、彼女のいじらしい笑顔が浮かんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!