Lesson15 彼女の吐いた嘘

2/3
73人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
 その絶叫を聞き俺は、しばし言葉を失った。  そしてその間も彼女は涙目で、赤くなったり、青くなったりを繰り返している。  ホントこいつ、洒落になんねぇよ。  どこまで俺の事を夢中にさせたら、気が済むんだよ?  ......しかし、今日の彼女の下着。  確かに可愛かったけど、あれのどこが勝負下着なんだ?  幾分疑問に思いながらも、取り敢えず当たり障りのない言葉を述べた。 「......そう......なんだ?  ......イヤ、なんていうか、その。  滅茶苦茶可愛かったよ?」  すると彼女は訝しげに眉を寄せ、唇を尖らせて言った。 「さっきのあれは、勝負下着じゃありませんよ?  だってまだ、鞄の中に入ったままですもん」  やっぱりワケが、分からねぇ。  ......わざわざ買って来てくれた癖に、なんで、身につけて来ないんだよ?  だから俺は、素直にその疑問を口に出してみた。 「......なんで?」 すると彼女は真っ赤な顔で、もじもじしながら答えた。 「......っていうか、先日からずっと、鞄に入れたままなんですけど。  だって私、先輩にお願いして、お泊りさせて貰おうと思ってたんです。  ......だけどなかなか、タイミングが掴めなくて」  それから彼女は一瞬だけ、そろりと上目遣いで俺を見つめ、そしてまた真っ赤になって俯いてしまった。  なんて事だ。  ......俺は愛しい彼女からのお誘いに、全く気付いていなかったって事か。  彼女同様、顔が赤く染まるのを感じた。  幸い六華ちゃんは俯いたままだから、それは気付かれていないと思うけれど。  だけど俺は敢えて余裕のあるフリをして、ニヤリと笑って彼女の耳元で囁いた。 「そうなんだ?  じゃあ今晩、楽しみにしてる♡」  彼女の首筋に、わざと音を立ててキスを落とした。  だってこっちはここ数日間、六華ちゃんの言動に散々振り回されたのだ。  だからこれくらいの仕返し、しても問題ねぇだろ?  すると彼女は真っ赤な顔のまま小さく悲鳴を上げ、いつもの様に凄まじい勢いで後ずさろうとした。  だけど俺はいつもの様に笑ったりはせず、彼女を腕の中に閉じ込めて、そのまま押し倒した。 「でも俺、夜までなんて待てねぇかも。  ......六華ちゃん、もうちょっとだけいい?」  もし彼女が嫌だって言えば、冗談にして止めるつもりだった。  なのに彼女はぷるぷると震えながらも、潤んだ瞳で俺を見上げて、小さな......本当に小さな声で言ってくれたんだ。 「......今度は、お手柔らかにお願いします」  ホント、彼女には敵わない。  ......そして結局その後も、お手柔らか(・・・・・)になんて出来なかったのは、俺のせいだけじゃないと思う。                  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!