悪魔の助言

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時計の針は正午になろうとしていた。その時、突如として国王の前に悪魔が現れた。 「初めまして、国王。私は見ての通り悪魔だ。」 「な、悪魔だと⁈一体私に何のようだ⁈」 「ただの助言ですよ。明日の為にね。さて、では早速断言しよう。この国は明日、滅亡する。」 「何を適当な事を!我が国は今、経済も情勢も安定している!世論調査でも住人の九十パーセント以上が満足しているし、何より今日の午後には私の名を冠したG-1レースだって開催されるほどだ!滅亡する要素なんて一つも見当たらないぞ!」 「そう言えば国王は大の競馬好きだったな…。だが、それがそうも行かないから、わざわざ私が来てやっているのだ。」 「ええい、黙れ!私は貴様ごときに騙されんぞ!出合え、出合え!」王の一声で数人の兵士が王室に集まった。 「この悪魔を捕らえろ!そして殺してしまえ!」 「やめろ。取り返しのつかない事になるぞ。」悪魔はあっけなく捕まった。縄でぐるぐる巻きにされ、身動きが取れかくなっていた。 「やれ!」王の号令で兵士たちが一斉に悪魔を鈍器や警棒で殴り始めた。 「イタタ、やめろ。私はそんな事をしても私は死なない。」しばらくすると悪魔は動かなくなった。 「フハハハハッ、ざまあみろ!ワシに出鱈目な事を言うからこうなるのだ!」王と兵士たちはガハガハと馬鹿笑いをしていた。 「よくもやってくれたな………」突然玉座の間に悪魔の声が響いた。それも一人では無く、おびただしい数の声がだ。 「な、何だ⁈」 「悪魔は殴られたくらいでは死なない。そのかわりに過度の攻撃を受けると分裂するのだ。」目の前に横たわっていた悪魔は身体が崩れゆき、夥しい数の小さな悪魔になっていった。 「私は大変頭に来た。ボコスカボコスカ殴られたからな。よし、決めた。今、私はザッと五億くらいに分裂したから、各自各々がこの国の住人に取り入って反乱を起こしてやる。人工約十億程度のこの国の約半分が暴れればこんな国、日付が変わるくらいには滅ぶだろう。ハハハハハッ…」そう言うと悪魔は跡形も無く消えたのだった。
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