君からの手紙~3カ月後のロエルとリュカ

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   たくさんの縁談。  絡んできた茶髪の男。  嘘くさい笑顔。  女の子と──⋯リアン。  サラの手が伸びてきて、ロエルの柔らかい髪に触れた。  不器用にぐしゃぐしゃと頭を撫でる。 「サラじゃ⋯⋯ない」 「は?」 「サラじゃない!リュカ!リュカがいい!!!  リュカあああああ!!!」 「なんだと、てっめぇ!人が慰めてやろうとすれば!!」  サラが怒りのあまり、立ち上がる。  ──リュカに会いたい。優しくて、綺麗で、頼りになるリュカに。 「先に嫌みなこと言ったのは、サラじゃん!サラの馬鹿!!」 「なっっ!!誰だ、コイツのこと蒼月の天使とか言ったのは!」  ぽかんと見上げると、眉を吊り上げた狂暴な顔があった。  ロエルの両目からボロボロと涙があふれる。  目の前に影が落ちたかと思うと、涙が舌で舐めとられた。  驚いていると、唇に唇が重ねられる。  するりとサラの腕がロエルの肩に回って、体ごと抱き締められていた。 「!?」 「泣いてるやつは体で慰めろって。俺の兄貴の言葉なんだけど」   サラはもう一度、ロエルに軽く口づけた。  しなやかな手が着物の合わせ目から入り込み、ゆっくり肌を撫でていく。  指が胸の頂点をかすめた。乳輪をくるりと辿り、乳首を親指と人差し指でこねあげていく。 「ちょっ⋯⋯!やめ⋯!!」  ロエルの体がビクビクとはねた。  サラのあたたかい舌が、ゆっくりと首筋を舐め、ロエルの口から思わず声が出そうになる。  その時。  がっとサラの肩が掴まれ、思いきり、ロエルから引き剥がされた。 「あれ、師匠⋯⋯」  リアンの拳がサラに向かったが、サラは咄嗟に飛びのいてよけた。 「師匠、大店(おおだな)のお嬢さんたちとお出掛けじゃあ?」 「お前が勝手に余計な約束をしてきたからだろう⋯⋯」  地を這うような声がした。 「だって、最近ただ働きが多いって言ってたじゃないですか。稽古がてらのお出掛けぐらい、営業、営業!」  悪びれないサラに、リアンの歯ぎしりが聞こえた。  呆気にとられたロエルは立ち上がって、体についた草をはらった。  リアンがサラから引き離すように抱き寄せる。  どんな顔をしていいかわからずに下を向いていると、リアンは崩れた襟元を直していく。 「何で、ここに⋯⋯」 「変な奴に絡まれていたのが見えた。客を宥めて後を追ってきたんだが⋯」  見上げたら、切ないため息が降ってきた。 「目を離すと、ろくなことがない」  蒼月への帰り道。 「え?リュカってやつが、あんたの恋人なんじゃないの?」 「ち、違うよ!リュカは友達!!」 「だって、あんなに大事に手紙を握りしめてたじゃん。てっきり友達は嘘だと⋯⋯」  気のせいか、辺りの気温が低くなってきたようだ。 「初めて⋯⋯もらったんだ」  ロエルは、はにかむように微笑んだ。 「手紙もらうような相手なんか今までいなかったし⋯⋯。大事な友達から初めてもらった手紙だから」  サラとリアンの視線がロエルに集中する。 「⋯⋯書こうか?」  黙っていたリアンが、ちらりとロエルを見た。 「え?」
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