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信州への疎開
小生は5歳の時に父に実家のある信州の松本へ疎開した。
東京は戦時国際法に違反するナパーム型の焼夷弾が、雨あられと
降りそそぐ東京では、被爆の度に防空壕へ逃げ込む小生家族だったが
このままでは、生きて行けないと祖父母の判断で、信州へ疎開することに決ま
った。小生の耳元にも焼夷弾の音が残り、一家全滅の危機が迫っていた。
小生は塩をリックに入れられ、兄のリックには炭が入っていた、小生の方が
小さいのに、重い荷物でフウフウいいながら、顔を真っ赤にさせながら暑い田
舎道を急いだ。
戦前の日本と真反対の暮らしになった小生は、我が儘が許されない生活をし
なければならなかった。
お坊ちゃんからの転落で、イキなり少年期の世界に様変わりした。
ガマン、ガマンの生活は都会人にとってはきつかったが、一度も死にたいな
んて考えたこともなかった。
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