磨かれた美的センス

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 村まつりも、強烈に印象に残った。  秋には、収穫祭も兼ねての祭りがあったが、地元民だけの参加で、疎開モノ には参加が許されなかった。  小生は淋しい思いをした。 「チャンチャンリース」の音で、山車に乗って地元の子供たちは祭りの衣装 で、楽しそうにしているのを小生は眺めていた。  鮮やかな山車の照明は今でも小生の脳の中に刻み込まれている。 「みんなが参加できればなぁ!」  一人寂しく眺める小生にとっては耐えることの出来ない出来事だった。 でも、何処の祭りもめでたいので、夢中になっていた。  悔しさを内に秘めて小生は我慢をしていた。  冬には「三九郎」と呼ばれているドンドン焼きが行われた。  これが見事なモノで、正月飾りや餅などを集めて燃やすのであるが、家の借 りていた蚕室の裏手にある田んぼで行われたが見事な感じだった。  夜空に燃え上がる火柱は、小生の目に焼き付いている。 生でみる祭りは迫力があり、小生の子供時代の行事の中での印象は強い。 住む村、独特の行事は、日本の原風景であり、日本人の心のふるさとだった。  いい行事がいっぱいある田舎のイベントは優れていて自然の中での演出は見 事だった。 「それぞれの地方には色々な祭りがあるなぁ」  小生も感激だった。  日本の四季を上手く利用しての祭りは、日本人として尊ばなければならな い。  疎開しなければ経験できなかったことである。  
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