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莉乃はお気に入りの服に着替えた。この前買って貰った白地に金色の横縞が入った新しいTシャツだ。下は勿論ハーフのデニム。スポーツブランドのキャップも被った。
「まだなのー?」
莉乃が着替えるのを今か今かと紀香ちゃんは待った。早く帰りたかったからだ。
「あと5分待ってー」
莉乃はお気に入りのスニーカーを履くのに手間取っていた。
「支度出来た。待たせちゃったね」
莉乃が男の子みたいな服装で出て来たので紀香ちゃんは困ったように笑う。
「何時もそんな男の子みたいな洋服を着てるの?」
「そうだよ。スカートなんて制服だけ。私には女の子の服は似合わないもの」
「莉乃ちゃんは女の子じゃない。スカートの方が似合うよ」
「そんなことない」
莉乃はブンブンと頭を振る。紀香ちゃんはまた困ったように笑ってお母さんの顔を見た。お母さんは渋い顔をしている。
「莉乃は小さい時からスカートは嫌いなんです。あの、お名前は?」
「あ、すみません、今泉紀香っていいます」
「そう、紀香ちゃんはスカートをはくんでしょ」
「はい、スカートとかワンピースが好きです」
「やっぱり女の子ってそうよねー」
莉乃は別に女の子らしくなくていい。生まれ変わったら男の子になりたいし、出来ることなら男の子として生きたい。
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