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大学にて
「恋野、ノートありがとう。わかりやすかったよ。お前、頭いいならここよりもっといい大学いけただろ?」
自分の偏差値でやっとはいれた大学の講義が難しい俺は、学籍番号が一桁違いで知り合いになった恋野努夢に教えてもらったりノートを貸してもらっていたが――、ありがたいことにこの知り合ったメガネ君は教授よりもわかりやすく教えてくれるし、ノートのまとめ方も上手い。
「うん、僕もそう思う。あんな変なことを高校最後の夏にしなきゃ……」
その夏を思い出してるのか、恋野は空を見上げて黙り込んだ。
恋野はこうやって、勝手によく物思いにふけやがる。
「おい、なにをしたんだ? なに、そんなに言えないことなのか?」
恋野の世界から忘れ去られたような気がして焦った俺は、なかなか戻ってこない恋野に声をかけた。
「うん……。もしかしたら、明知、キミは僕を気持ち悪がるかもしれない」
「そんな変なことなのか?」
「うん……」
「そうなのか? 俺も高校のときはバカなことをよくしたよ……あ、俺は今もだけど。俺はよく変人扱いされてるからお前の気持ちはわかるはずだ。なにがあったか聞かせてくれ」
好奇心が湧きあがり、恋野に迫る。
俺の悪い癖……。なんでもかんでも好奇心を持って突っ込んでしまう。それが学力に反映されないのが悲しいところで――、しかも好奇心を持ったものが他の人には受け入れ難いものだったりすると、変人扱いされる……。
「うん……。覚田強子っていう、才色兼備がいてね……」
また空を眺めだしたと思ったら、恋野は語りだした。
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