あわてんぼうのぼくとうっかりもののつくもがみ

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僕は結局、パイロットにはならなかった。 もっと面白い仕事を見つけたんだ。 五年生のときに友達になったシンヤとは、今でも親友だ。 会えば、小学校時代の思い出が蘇ってきて、子供っぽいことをして遊んでしまう。 去年、中学生のときから文通していた、アメリカの女の子と結婚したんだ。 来年には、赤ちゃんが産まれる。 もちろん日記は今でも書いている。 キャップに傷が付いた、青い万年筆は、使うたびに僕の書き癖を覚えて、ますます使いやすくなっている。 いつか産まれてくる子供にあげる日まで、大切に使おう。 日記には、いつも食べたもののことを書いてしまう。 最近では、朝はパンが多いかな。ふふ。奥さんの好み。 僕のお腹は、まだ出ていない。 ◯月◯日、今朝はバターロールにハムサラダを食べました。 ベランダのトマトの花に、マルハナバチが止まっていました。 ヒヨドリのさえずりが木の上から聞こえてきます。 アメンボが、元気に小川の上を滑っていました。 今日もいつもと同じような一日でした。 いつもと同じように、ご飯が美味しかったです。 いつもと同じように、子供たちは元気でした。 いつもと同じように、太陽が東から昇りました。 今日も平凡な、特別な日でした。 いつもと同じ、特別な日でした。
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