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賑やかな音楽にのって
男女の卑猥な戯れ声が
夜の深まりとともに、塀を隔てた
こちらまで響き渡り出す。
「くそっ、勉強になんかならん!」
「あれ?出掛けるの?
加東大佐に貰うた菓子を
今、勉強部屋へ持っていこと
思てたのに・・・」
「そんなもん、イラン!」
母親に苛立ちをぶつけて
玄関扉を激しく閉めれば
行き場もないことに
気づいても・・・
もう歩くしかない。
人混みを避けて避けて
“ 花街 ” を出たら
長い橋を渡って
“ 普通の町 ” へ。
僕はこの “ 普通の町 ” に
憧れていた。
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