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いつかもここで
僕が家業の悪口を言うと
「でも、慎太郎くんの御両親は
エエ人よ、よく働いて・・・
食糧不足のお宅にもお米を
分けてあげたり」
「偽善やな!自分らが
汚ないからエエことして
良く思われたいんや!」
「アカン!そんなに片意地な
こと言うたらアカンわ。
慎太郎くんが優秀なのを
とても誇らしく思って
朗らかに暮らしてらっしゃる、
とてもいい御両親よ」
蓉子は笑って諫めてくれた。
この聡明な彼女を
僕は憎からず想っていたが
(家柄が違い過ぎる・・・)
そのことが、どうしても
気持ちに堰をつくってた。
そのくせ、こうしてアテなく
・・・・いや、アテなくではなく、
蓉子に会えたらいいなと思って
この空き地へやって来るのだ。
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