君の瞳に星は輝く

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誰もいない空き地で 僕らはとりとめもないことを ボツボツ話す・・・。 「お父さんは天文学やったけど  私は政治学がしたかった」 「そうなんや・・・でも」 僕らは小声になった。 「時節が悪いでしょ?  女が政治学なんて・・・。  私、戦争だけが悪いんじゃ  ないと思うの、女性が弱い  立場なのは。女性も学問して  男と同じ仕事して、政治にも  発言権を持たないと、いい  世の中にはならないと思うわ」 そう・・・蓉子は 物怖じ一つせずに いつも自分の意見を言える そんな娘・・・。 僕みたいにウジウジと 僻んでるくせに 家業の金で、要るか要らんか 判らん学問してるのとは違う。 「私、戦争が終わったら  大学へいくつもり。  女性が人間らしく生きれる  そんな時代を自分が作って  いきたい!」 天を仰いで凛とした姿に・・・ つい、ボーッ、ポーッと・・・ 「あれ?どうしたん?」 「い、いや」 「こんな綺麗な夜空やもんね、  見とれるよね、ふふふ」 いや・・・僕は蓉子に魅とれてた。 瞳に星を住ませる蓉子に 魅とれ続けていた、ずっと。 こうしてたまに会うだけで 会えるだけで 僕は幸せだった・・・。      
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