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俺は完全に焦っていた。 待って。時間止まって。いいから止まって。俺の未来のために! 戻ってくれてもいいよ? できれば昨日の夜がいい。せめて50分前。お願いしますっ! 切実に! 焦りは募るばっかりで、誰も俺の焦りになんて気づかない。いや、もしかしたらみんな焦っていて、自分のことにしか頭にないのかもしれない。 「残り5分です」 淡々とした声が聞こえた。 俺は必死に頭を働かせる。しかし手は動かない。 残り5分だ。考えろ。とにかく考えろ。俺はできるやつ。やればできる! こんなの簡単だ。すぐにできる。5分もあれば余裕だ。 そう自分に言い聞かせる。 しかし、静かな空間には、カチカチと秒針が進んで行く音がよく聞こえる。いや、俺が時計を見ていないから、正確なことは分からない。本当は止まっていて、秒針はその場で足踏みをしているかもしれない。もしかしたら逆向きに進んでいるかもしれない。 しかし、俺の予想は裏切られた。
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