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ハリスの家は小高い丘の上にあります。町からは近く、やさしい森に囲まれてハリスは幸せでした。大切なハリスの家です。大切なハリスの居場所です。この家をハリスは人に譲ることにしました。
「この町を出てしまうのかい?」
親切にしてくれた町の人達が残念そうにハリスを港で見送ります。
「はい。ちょっとここから離れてみようと思います」
「いつでも帰っておいで」
「はい」
ハリスはひとりで船に乗り、旅に出ることにしました。ひとりきりの大冒険です。ですがハリスはひとりではありません。
胸に手をあてると、大きく青白く輝く鳥がハリスを見つめています。その横でかわいらしい声で鳴く小鳥も一緒にいます。
そうハリスはひとりではありません。
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