かごの中の星

小高い丘の上に小さな家がひとつありました。まわりをぐるりと囲った木々には緑の葉がしげっています。深い山奥にあるような森ではなく、人の世界に近いやさしい森でした。

丘をくだれば町があります。そこには学校や役所やお店がたくさんありました。広場には噴水があり、真ん中に設置された女神の像に町の人達は祈りを捧げます。

丘の上に住む少年はハリスといい、たったひとりで住んでいました。ですが町が近くにあるので便利です。森の中に住むのはウサギや小鳥ばかりで、怖いオオカミやクマを見かけることはありませんでした。小さな泉と清らかな小川があったので町にいるよりも好きでした。

ハリスの家の中に小さな銀の鳥かごがあります。その銀のかごの中では、青白い光がまたたいていました。