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星が降る夜は過ぎ去てしまいましたが、雲ひとつない夜空で星がまたたく晩に銀のかごをもって外に出ました。
銀のかごの中には大きな鳥の形をした星がいます。まばゆく大きく輝いて今にもかごから飛び出しそうでした。
ハリスは泉のそばにたちました。木々にひっかっていた星たちも、小川や泉の中にいた星たちも地面に降りた星たちも今はどうなっているのでしょうか。
ハリスは銀のかごの扉を開き、夜空に向かって高くかかげました。
「今まで一緒にいてくれてありがとう。もう、いくんだ。君は鳥だ。大きな鳥だ。ネコやカラスに負けやしない立派な大きな鳥だ」
ずっとかごの中に入れていてごめんと謝ると、大きく翼を広げて星は飛びたちました。ハリスは夜空をはばたく星を眺めます。鳥はハリスの真上でぐるりとまわった後、ハリスのもとへと戻ってきました。ハリスが困ったような顔をします。
「もうかごの中にいなくていい。君は自由なんだ」
きょとんと首を傾げた鳥は、ハリスの胸の中に飛び込みました。ハリスの胸が青白く光り胸の奥が熱くなります。ハリスの手の中で亡くした小鳥がみえたような気がしました。
「え?え?」
あわてるハリスの胸の奥で声が響きます。
ずっといっしょ
やくそく
ずっとそばにいる
やくそく
ハリスの身体が大きく震えます。涙があふれてとまりませんでした。
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