第一章 理想の恋人たち

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 「直樹さんの勝ちね。  そもそも獣医師って、品種改良してるわけでないし、助ける職業なんでしょ。  まぁ、私は、愛香に食べるな、とは言わないけどね」   笑う彼女はハッとするほどの美人だ。前に愛香は美人と言われたけれど、それは、玲奈に相応しい言葉だ。  彼女は、工学部建築学科という、男性の多い学科に在籍している。だから余計に目立つ。大学一の美女で有名だ。  愛香と同じ二年生なので、共通講義は一緒に取ったりするけれど、いつも男子学生の視線を感じるのだから、友人の容姿はすごいと愛香は素直に思っている。  しかも優しげな美貌なので、相当モテる。でも、愛香の知っている範囲では、一年生の時に同じ学部の先輩と少し交際した程度。  勝気だけれど、優秀で真面目に講義を受ける性格なので、学業優先、と言っているのを見たことがあった。  だから愛香と同じで、鉱物同好会は息抜きの場所らしい。美人だけれど鉱石(いし)好きな彼女に、男性はついていけなくなるようだった。  そんな彼女が笑いながら愛香に言ってきたので、膨れながら反論した。
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