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「でも、未遂だったの。
助けられたの。あの子との話を聞いてて……」
ここまで言うと、直樹は不審そうに確認してきた。
「ちょっと待ってほしい。
いつ、あいつと話したんだ?俺があいつから子供出来たって聞いたの、愛香と話す前日だぞ。その時まで全然連絡なかったから、無かったことにできるんじゃないかって思ってたんだ」
驚いた。直樹は事情を聞いてすぐに、愛香に別れ話をしたと知って。そして、連絡を取り合う関係でないとも知って、二人が交際していないのが事実と分かった。
「貴方と話した日。
昼に玲奈と学食にいたら、妊娠したから退学するって。結婚式に招待するって言われたんだけど、誰と結婚するのか言わなかったの。
だから、私、二人が打ち合わせたって……」
聞いた直樹は怒りの表情になった。
「くそっ、俺を騙したのか、そこでも。
俺、愛香に会わせたくなくて、妊娠、言われた日に、もう大学行くなって言ったんだ。子供に何かあったら結婚ないんだぞって脅して。
愛香にひどいことした後、すぐに会ったけど、休んでたって言ってたんだ。俺はほんとにちょろい男だったんだな」
悔しそうな表情に、愛香は、二人とも倫世にいいように操られていたと知った。
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