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でも、当時、二十二歳の彼に、そこまでの判断ができただろうか。今の二人だから、その選択が間違いだと分かるけれど、あの頃なら愛香にも、一番と思う決断はできなかったはず。
社会に出て、いろいろな立場の人-先輩獣医師や飼い主と接するようになって分かったことがある。一人一人の考えや決断は違うのだと。
その中で、自分の判断力を磨いていっていると思える。
「あの頃なら、それはできなかったと思うよ。
私だって、貴方が付き合い断ったんだから、それ以上は追いつめなくてもいいんじゃないって言ったと思うし。
貴方だけが悪いって言いきれないんじゃないかな……」
「いや。俺が悪かったんだ。
きっと、一人で解決しようって思った時に間違ったんだろうな……なんでも言い合えるのが恋人なのに。年上だからって……無駄なプライドだったよ」
全部の事情を聞いて、やっと愛香は、気持ちの整理がつくと感じた。
そして、会う前までは考えもしなかった思いにも気づいた。
彼と、このまま終わりにしていいのだろうかと……
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