2164人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
「ねぇ、これからどうするの?」
愛香の問いかけに、直樹は想像よりもあっさり答えてきた。
「離婚して会社辞める予定。辞めるのは書いたよね。
その後は二人で実家に帰るんだ。前に言ったことあるよね。伯父さんの会社に少し世話になろうかなって。そうするつもりだ。もう、話も通してるしね。
離婚の条件がどうなるか分からないけど、親権は俺が取れると思ってる。あいつは、薫が可愛くないからさ。
自分に似てないってのもあるけど、実は……愛香も気分が悪いかもしれないことしてるんだ」
首を傾げた。意味が分からなかった。
「薫は、愛香から名前をつけたんだ。
かおると、かおり……同じ意味の文字を使いたくて……ごめん。勝手に息子の名前に使って。
あいつも気づいてさ。余計に可愛くないんだ」
愛香は驚いたけれど、事情を聞いたら怒れないと思った。それに、命名の権利は愛香にはない。
「そうだったんだ……でも、薫くん、可愛かったから怒れないわよ」
「ありがとう。そう言ってくれて」
再会して初めて、直樹は微かな笑みを浮かべてきた。
最初のコメントを投稿しよう!