第十章 過去を乗り越えて

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 「大丈夫ですよ。  二次会に関しては、俺たちがいいって言えば、誰も反対できませんから。  それに、サークルの件も、玲奈をきちんと説得します」  微笑む誠之を、直樹が眉をひそめて見返している。変わりすぎているので、まったく気づいていない。誠之が苦笑しながら挨拶した。  「久しぶりですね、田代さん。誠之ですよ」  「え?え、誠之?あの、誠之?」  何度も確認する直樹に可笑しくなる。四年ぶりに会った後輩は、まるで別人だから、彼が驚愕(きょうがく)するのは分かる。  「はい、そうです。田代さんは変わってませんね。  ちょっと心配で愛香についてきたんですけど、ある女性に笑い話を聞かされてて、やっと解放されたんです」  「あの子、帰った?」  頷く誠之の手には有名ドーナツチェーンの箱がある。視線を向けると、彼が説明してきた。  「彼女と話したカフェの隣りにあったので、田代さんのお子さんにお土産です。  でも、びっくりしましたね。田代さんのクローンかと思いましたよ」  言いながら誠之は愛香の隣りに座った。
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