第十章 過去を乗り越えて

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 その言葉に、直樹が二人に頼んできた。  「薫、連れてきたいから、少し待っててもらえるだろうか。  何かもらったら、きちんとお礼言うような子供になってほしいからね」  二人揃って頷いた。その態度に直樹は微笑みながら席を立って、キッズスペースへと向かっていった。  誠之と二人だけになると、愛香は溜息が出た。倫世が、愛香の恋人を再び略奪しようとしたことは、やっぱりショックだ。  「彼女、私のこと、嫌いだったのかな……」  「それは分からないな……羨ましいって思ってたような気はするけど。  でも、もうこれで終わりだから安心して。  俺、絶対、愛香の隣りからいなくならないから」  断言する誠之に安らぎを覚える。本当に、この人に愛されて幸せだと実感する。  気持ちが落ちついた愛香は、さっきの誠之の行動で、不安に感じた部分を尋ねていた。  「ねぇ、どうして、彼女とここを出たの?」  尋ねられた誠之は、あっさりと答えてきた。
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