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「田代……直樹さんと話した。
声だけだから断言できないけど、全然変わってないってほんとみたいね。ちょっとびっくりしたから」
六月の土曜日。
梅雨の季節だけれど、この日は太陽が見えている。
新婦の控室に来た玲奈が、愛香にだけ聞こえる声で言ってきた。愛香は親友に、直樹の事情を話していた。
聞いた玲奈は倫世をさらに軽蔑したようだ。そして、直樹の迂闊さにも怒ったけれど、愛香たちの頼みは受けてくれると言って、彼に電話連絡している。
「ありがとう。
やっぱり、すっきりした気持ちで結婚したかったから、ほんとに良かったって思ってる。
それに、直樹、いろいろ進めてるんだって。今年中には解決できたらな、って言ってたよ」
さすがに、挙式前に離婚、という言葉は使えない。
「それは当然だね。心機一転ってことか。
薫くんって、すごく可愛いんでしょ。二次会からってのが残念だけど、早く会いたいわね」
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