第一章 見つけた夢

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 「なぁ、工業デザイナーってどんな勉強するんだ?」  確かに珍しい進路だから、興味があるのは分かる。彼は商学部志望だから、どんな講義かは想像できる。  「デザインの実習とか、デザイン論とかっていう講義あるみたい。  心理学とかも勉強するんだって。デザインって生活に関係してるからさ、使って気持ちいい物にするって大事なんじゃないかな」  入っていないから、ある程度はカリキュラム名を見ての想像だけど、全然外れていないとも思った。  「なかなか大変なんだな。  デザイナーって、図面描くだけって思ってたよ。確かに、なんとなくいい感じっていう物あるもんな。  そういう勉強するから可能なんだ」  頷きながら予備校に向かう。  でも、やっぱり一番大切なのは、浮かんだアイディアを図面にできる能力だ。  だから、芸術系の選択はもちろん美術。デザインとは違うけど、何かを描くというのは同じだから。  合格、そして将来の夢のために、大翔はできることを頑張っていた。
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