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大翔はすぐに答えないで考えた。両親も二校受験を勧めてくる。
珍しい進路だから、浪人になると結構厳しい。
受験に絶対はない。
「そうですね……やっぱり滑り止めあったら余裕出ますよね」
単願だと一発勝負な受験になるけど、併願なら、どちらかに合格すればいいから、気分的には楽になる程度は分かる。
「出るだろうな。あまりメジャーな学科じゃない。可能なら併願を勧める」
専門学校に行くつもりがないなら、併願は現実的な選択だと大翔でも思った。
「分かりました。東京に気になる大学ありますから、そこも受けます」
通学には少し厳しくなるけど通える距離だ。家の近所でも東京に通う人は多い。
もちろん、今でも、あの大学に入るつもりだけど、他の学校なら絶対嫌というほどでもない。
勉強を続けて、大翔の気持ちにも変化が出る。
工業デザイナーになるために大学に行くのであって、その大学に入るのが目的ではない。そう思えるようになっていた。
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