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無事に入学して、ほんの少し余裕のできた大翔は、サークル活動をすることにした。
「三谷大翔、工学部工業デザイン科の一年生です。よろしくお願いします」
頭を下げると、数人の先輩から歓迎の声が返ってきた。
彼は、鉱物研究会というサークルに参加した。
高校生の時からデザインに関する書籍を読むようになった大翔は、鉱物の結晶に魅かれるようになった。
化石の緻密な形にも興味が出たので、大翔にはぴったりのサークルだと思った。
でも、美人の先輩が二人もいて、大翔は秘かに赤くなった。
「はじめまして、三谷くんに山下くん。
サークル代表の飛田誠之です」
挨拶してきた誠之という人は、少し……結構肥満で眼鏡をかけた男子学生だ。でも、優しそうでホッとしてもいた。
「誠之、エラくないから、普通に話して大丈夫よ。
四年生、私と愛香と彼だけだから」
美人の女性の一人が、新入生二人に声を掛けてきた。優しそうな人なのに、口調が勝気で少しギャップがあった。
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